ダンサーのためのロルフィングセッション

 

break dance

エアロビクスインストラクターであるIさん。
8ヶ月間に渡るロルフィング10セッションを終え、先日のエアロビクスの大会では5位入賞・特別賞の受賞という快挙を成し遂げられました。
今回は、Iさんと行なったロルフィングセッションの概要をご紹介いたします。(ご本人了承済みです)

これまで「動きが小さく硬い」といわれることが多く、もっとしなやかさや伸びやかさを伴った表現をしたい、というのが当初のお悩みの中心でした。
セッションの途中で、エアロビクス大会の演目に変更があったため、改善したいポイントを随時修正しながらセッションを行っていきました。

大きく柔らかな動きの獲得には?

  1. 胸郭の細分化

    動きが小さく硬くなる原因の一つに、胸郭の細分化の感覚を養えていないことがありました。
    セッションを開始した当初は、胸郭の構成要素である -胸骨と鎖骨、その骨が構成する関節である胸鎖関節- を動かす感覚 をなかなか掴めていないようでした。
    ダンスの基礎に「アイソレーション」という各部を分離独立させて動かす練習方法がありますが、胸郭の部分のアイソレーションが特に行いづらいようでした。
    固まっている胸郭では、腕や手の動きに胸郭を上手く連動させることができせん。
    Iさんにおいても胸郭と腕の連動性が上手く機能していないことが見て取れ、特にセッションを開始した当初は、胸骨と鎖骨、肋骨と腹斜筋群、上肢と体幹、の分離が上手くいっているとは言えない状態でした。

  2. どうすれば腕が長く見せられるのか?

    Iさんの場合、胸郭と腕が上手く連動していないことが「動きが小さく硬い」といわれる主な原因です。
    腕を動かす際には、体幹が固定され肩や肘だけで腕を動かそうとする意識が強く見て取れました。
    ただ一生懸命動かすだけでは、なかなか「大きく柔らかな動き」の表現はできません。
    手や腕を伸びやかに大きく動かしたい場合、腕の動きに合わせて、肋骨、腹斜筋群、骨盤を連動させる必要があります。体幹部からの動きの繋がりがあって初めて、動きのモーメントが大きくなり、手指に意識を繋げることでしなやかな動きが実現できます。

  3. 腕と体幹部を連動させるには?

    腕と体幹部のダイナミックな連動性を養うためには、まず1.で紹介した胸郭の細分化を行う必要があります。
    そして、次に肋骨や骨盤部から腕の上げ伸ばしをする感覚を高めていきます。
    実際のセッションでは、動きの制限がある筋膜や関節の制限を手技によりリリースした上で、肋骨と腸骨(骨盤)を腹斜筋膜の連動を軸に活性化します。
    腸骨から腕が伸びていく感覚や、肋骨から腕を上げていく感覚があれば、体幹部が腕の動きと上手く連動しているサインになります。

これらのプロセスを進め準備を積み重ねて、連動させた腕や体幹部の脱力を促すために、要となる胸郭を緩める体操を紹介し、本番に向けて仕上げていきました。

ステップの際に下肢がぐらつく

他にも動きのスットプアンドゴー、急な動きの切り返しを行う際の下肢のぐらつきも気になるということが練習を進める中で起こってきました。
このぐらつきの原因は、ハムストリングや臀部の筋肉の抜けによるものでした。
ハムストリングを使えるようになると、仙骨と背骨が安定します。
そして臀筋を使えるようになると、下肢の*Lateral lineSpiral line(下図参照)が連動することにより、内転筋にも適切なテンションを掛けることができるようになります。
※ラテラルラインは臀筋〜長脛靭帯〜腓骨筋群、スパイラルラインはこの流れを受けて前脛骨筋〜長脛靭帯や大腿二頭筋短頭〜大内転筋中央部へと連鎖します。

これらの相乗効果で、腸腰筋や腰方形筋や腹横筋などの腹部のコアユニットが機能し始めます。
下肢と体幹部の連動があると、動きの安定とキレの共演が可能になります。

anatomy train LL SPL.1

anatomy train LL SPL.2

下肢の Lateral line と Spiral Line
3D4Medical社様のご厚意により、画像を使用させていただいております。permitted by 3D4Medical

 

ヨガにおいて、バックベンドの硬さは?

ヨガを練習する際、バックベンド(後屈)系のポーズの時に、ポーズが深まらないというお悩みもありました。
”Upward Bow”ポーズに代表される「反る」これらのポーズは、柔軟性と筋肉の強さという二つのバランスが大切になります。
Iさんの場合は、右大腿部前面や腹部のつっぱり感や右股関節の引っ掛かりを感じることから、拮抗するハムストリングや中臀筋や脊柱起立筋が上手く使えていないことが原因に挙げられます。

”Pigeon”のポーズで右臀部の筋肉に強いハリを感じ左右差も見られる”とおっしゃることからも分かるように、中臀筋が固まっていて機能していないのは明白でした。
中臀筋が使えてくるようになると、腕と胸郭のサポートになる前鋸筋も結果として連動し始めます。

 

Eka Pada Urdhva Dhanurasana
By Joel NilssonCarrie -Yoga shoot #002
Uploaded by High Contrast, CC BY-SA 2.0, Link

顔鍼

ロルフィング10セッションの中では、普段は美容鍼を行うことはありません。
ですがIさんからのリクエストもあり、また顔や頭からの筋膜の柔軟性を高めることの結果として、動きの改善にも寄与することが期待できたため、セッション8以降に組み込んで行いました。
顔や頭への施術を行うことで、気持ちも前向きになり、筋膜の柔軟性の向上により、腕や肩のゆるみが動きの連動性を高めることに繋がったことを確認できました。

まとめ

8ヶ月に渡る10セッションの中で養った連動した動きの感覚を元に、目標としていたエアロビクスの大会においても大変満足がいく成績を残せたIさん。
Iさんはエアロビクスの競技者としての一面と、インストラクターとしての指導者の一面も持っておられます。
ロルフィングのセッション内で探究したことを競技の実践に活かし、同時にご自身が指導する立場でも存分に活用していただけている、ということです。

ロルフィングのセッションは、お一人お一人異なるテーラーメイドでの内容になります。
セッションの事前準備に時間を使うのはもちろんのこと、動きの改善にフォーカスする場合は特に、私自身も練習を積み重ねてからセッションに臨むこともしばしばです。

「動きが小さく硬い」「もっと大きくダイナミックに表現したい」「しなやかさや伸びやかさの感覚を養いたい」。
表現をしている方々の生涯のテーマの一つかと思います。
テーラーメイドで進めていくロルフィング10セッションは、動きの可能性を追求されている方の一助になれると確信しています。