ロルフィングセッション6:Core(コア)の転回 −背骨と仙骨−

仙骨 Sacrum
photo : Rear view of the bones of the torso, spine and pelvis : license

 
Nさんのセッション6を行いましたので、経過のご報告をしたいと思います。
前回のセッション5を終えた時点でとてもすらりとした佇まいで立っていたのが印象的だったNさん。

今回の来院時には、玄関を入ってこられた瞬間からすっきりとした印象をとても強く感じました。
セッション5までの刺激が身体に十分馴染んで、日常生活での快適さを感じられているのが如実に見て感じられます。
実際にNさんに経過を伺ったところ、前回までで唯一残っていた背中の丸みもほぼ気にならなくなり、とても心地よく毎日を過ごせている、という感想を頂きました。
セッション5で行った鎖骨や胸骨や上部肋骨周辺へのアプローチが、Nさんにとってはとても効果的であったと考えられます。
また、主に上半身へのアプローチであったにも関わらず、X脚気味の太腿のバランスも、前回と比較して随分と整ってきた印象を受けました。
Nさん自身は「今は気になる症状は特にない」ということだったので、呼吸を軸にした身体のバランスの更なる向上を目的として、セッション6を始めました。

 

背骨とのつながり

セッション6では、唯一うつ伏せの姿勢を中心にしたセッションを行います。
うつ伏せ位で行うため背中側からのアプローチがメインとなり、主に仙骨−背骨と全身の筋膜のバランスを診ています。
セッション4と5でアプローチした横隔膜と腸腰筋が仙骨−背骨とどのように関係しているかを中心にしてアプローチします。
セッション1~3、セッション4~5を通して活性化してきた各部分を背骨の動きと結び付けます。
セッション6では、まず下肢から、仙骨を基点とした背骨とのつながりを強化します。
Nさんの場合、下肢と仙骨のつながりはとてもスムーズであるため、下肢に関しては腸腰筋を軸とした背骨とのつながりを高めるようセッションを組み立てました。

 

全身運動としての呼吸

次に横隔膜から肋骨にかけて、上肢の部分へのアプローチを行います。
セッション5でのアプローチをさらに深めるために、うつ伏せの姿勢で背中側からも肋骨にアプローチします。
Nさんの背中の丸みの主な原因は肋骨の可動性の悪さにあると考えられます。
この可動性の悪さをしっかりと改善していくために、肋骨部に対して、前・横・後ろから、3D構造でのアプローチを行う必要があります。
Nさんの肋骨部に対して、ロルフィングの手技の特徴の一つである両手で前後から挟むアプローチを行いました。
左側に動きの制限のある肋骨が3、4本あり、右側は2本ありました。その部位に対してAMP(Active Movement Participation、施術に合わせて受け手の方にもゆっくり動いていただく)を呼吸バージョンにて行いました。
制限のある部分でAMPを行っていると、「呼吸がグワッと入ってくる感覚を急激に感じ、横隔膜より下のお腹の部分へと空気が入ってくる。」のを感じ始めたそうです。
さらに胸骨から鎖骨部への呼吸のAMPを行っていると、「呼吸がお腹から骨盤底を通って下肢へと広がっていく」のを感じ始めたようです。
呼吸の広がりをうつ伏せ位にて十分に感じてもらえたので、うつ伏せ位から仰向け位へと姿勢を変えます。仰向け位で胸骨から首への筋膜のつながりを促すように、呼吸を伴ったAMPを再度行います。
うつ伏せ位で感じた呼吸の広がりをさらに身体全体へと拡げていくように、肋骨と横隔膜の十分な広がりを意識しながらのアプローチを行います。
脚まで広がっていた呼吸のリズムが全身へと広がり、各部位が協調して体全体で呼吸しているような感覚が生まれたそうです。
最後に「呼吸は全身運動なんだ」という言葉をおっしゃっていました。
このNさんの言葉はとても印象的なものであり、セッション5をさらに一段バージョンアップさせたような、とても活力ある雰囲気を醸し出していました。

 

スムーズな呼吸を育む

呼吸は生まれてから、死ぬまで一時も休むことなく行われています。
その数にして、1日約25,000~30,000回。
自分で意識して呼吸をすることも可能ですが、9割以上は無意識下の反応によると言われています。
途切れることのない呼吸が姿勢を作ります。また、日々の姿勢が呼吸に影響を与えています。
集中してデスクワークを行っているとき、僅かに浅い呼吸しかしていないことに気づくことも少なくないと思います。

PC作業による巻き方の助長も、呼吸の浅さに拍車をかける原因となっています。
浅い呼吸の癖の蓄積は、肋骨可動性の低下を招き、猫背として身体に深く記憶されてしまいます。
深呼吸をして大きく肋骨を動かそうと思っても、【浅い呼吸の習慣化=肋骨の可動性の低下】が制限因子となり、大きい呼吸がすでにできなくなってしまっている人を少なからず見かけます。

姿勢の改善と心地よい呼吸を取り戻すための前提として、これまでの暮らしの中で形成されてしまった肋骨の制限を一度しっかりと解放する必要があります。
日々のスムーズな呼吸を育むことが、30,000回あまりの1日の生命活動を見直すことになります。
呼吸を整えることは、身体の健康の礎であり、ひいては心身の健康へとつながります。

 

セッション6では、背骨を軸としてこれまでのセッションをつなげました。
セッション7では脚から積み上げてきたこれまでのセッションを、顔や頭の部分を中心にしてまとめていきます。
特にセッション7では、ロルフィングに特徴的な口腔内や鼻の内側へのアプローチも含まれます。
どのような形でコアのセッションがまとまっていくか、とても楽しみです。