ロルフィングセッション5:Core(コア)の流れを承けて −腸腰筋と横隔膜−

腹腔(腸腰筋と横隔膜)
Photo by Qasim Zafar – Posterior thoracic, abdominal and pelvic wall / Public Domain

 

Nさんのセッション5を行いましたので、経過のご報告をしたいと思います。
セッション5を始める前に、Coreのスタートなる前回のセッション4の感想を伺ったところ、「これまでのセッションであれば、セッション直後からじわじわと身体感覚が変わっていき、2~3週間が経つ頃には新しい良い感覚で日常を過ごせるようになっていたのが、今回は自覚できるような変化を感じられませんでした。」という感想でした。

前回のブログでも書いたように、Coreのセッションではこれまでのようなインパクトのある直後変化が出ないこともあり、変化の実感に時間を要する傾向があることをお話ししていたのですが、実際に日常生活を過ごしてみて、セッションの特徴の違いを身体で感じられたようでした。
セッション4に引き続き、仕事中に猫背気味になってくることと、肩が前に丸くなってくる点が気になるポイントであることを確認し、セッション5を始めました。

 

上肢とのつながり

セッション5では、セッション4からのつながりを延伸して、Coreを活性化します。
セッション4で行った骨盤底までのアプローチを引き継いで、腹腔から背骨の前の領域へのアプローチを行います。
特に腸腰筋(腰と脚をつなぐ筋肉)と横隔膜を中心に脚と上半身をつなげていくことを大きな目的として行うのですが、その際に腕や手との関わりのバランスを観ていくことも、効果的なワークを行う上で大切になります。

Nさんの場合も、手根骨(手の付け根の骨)と前腕の骨間膜(前腕を構成する2本の骨の間の膜)の動きを滑らかにすることから始め、腕~大胸筋と腕~広背筋の筋膜連鎖のバランスを整えました。
手から胸、手から背中の筋膜連鎖を始めに整えておくことが、後に行う身体の深い部分へのアプローチをさらに効果的なものにするからです。

 

腹腔の捻じれ -腸腰筋と横隔膜-

次に、骨盤底からのつながりを意識して、腹筋群とさらに深い部分にある腸腰筋に対してのアプローチを行います。
腹筋群では肋骨や骨盤との連鎖、腸腰筋では横隔膜や脚との連鎖、これらユニットとしての連鎖に対してワークを行うことで初めて、Coreの活性化を促すことができます。

Nさんの場合、セッション1で左側の肩甲骨内側のコリ感は消失したのですが、 左側の胸郭はまだ少し下側に引っ張られたままの状態が残っていました。
これは左側の腸腰筋に捻れがあり、それに伴い左側の腹筋群が胸郭を引っ張っている状態になっていることが原因でした。
施術中には、腸腰筋や腹筋群のお腹側からのアプローチにもかかわらず、「おしりから太腿の裏側が伸ばされていくような感覚を感じる」というフィードバックをもらいました。
一般的に腸腰筋の緊張や捻れは、結果として横隔膜の緊張を招き、気付いたら日常的に浅い呼吸しかできなくなってしまうという原因にもなりえます。仕事中に浅い呼吸しかできていないという方や深呼吸のやり方が分からないという方は、腸腰筋の緊張や捻れに真の原因があるかもしれません。

 

猫背・巻き肩の原因は?

腹腔(お腹の空間)の次は胸腔(胸の空間)へのアプローチを行います。
胸腔は腹腔とは異なり、肋骨や胸骨などの骨でしっかりと守られています。
肋骨や胸骨の下にある心臓などの重要な臓器を支えるため、腱や靭帯・内臓を保護する幾多の膜で覆われているのです。
骨や靭帯などが豊富に存在するため、長年のクセや無意識のパターンが不良姿勢として根付いてしまっていることがあります。

Nさんの場合も、仕事で緊張する様な場面になると、肩が前に巻き込み背中が丸くなるような姿勢になり、気持ちの面でも少し萎縮してしまうことがある、ということでした。
Nさんの場合、特に鎖骨から第4肋骨までの高さで、胸や肩が前に巻き込んでくるかのような筋膜や骨膜の緊張がみられました。
ロルフィングの手技の特徴の一つである両手で前後から挟むアプローチを行い、肋骨や胸骨・臓器を支える靭帯・背中側の脊柱起立筋や背骨を同時に伸ばしました。左側を行っている際には、鎖骨の下や上部肋骨へのワークであったにもかかわらず、足の裏まで伸ばされている感じが伝わっているという感覚を感じられていました。「ここは私にとってすごく重要なポイントな気がします」ともおっしゃっていました。

 

セッションを終えて立ってもらった時、Nさん自身がとてもすらりとした佇まいで立っているのが印象的でした。
どことなく丸くなっていた上半身がすらっと上に伸び、巻き込みがちであった肩も良いポジションにおさまりました。
Nさん自身もこれまでには感じられなかったような心地よさを感じ、頭の上から何かに引っ張られているような感覚を自然に感じることができているということでした。
セッション4と5を通して、Coreの活性化を十分に促すことにより、根深いクセが定着しやすい胸から背中をしっかりと伸ばすことができた結果だと考えられます。
Nさんからは「これでまだ半分なんですね、5回のセッションですでに随分身体の変化を感じているので、後5回のこれからがますます楽しみです」との感想を頂き、今日も心地よい足取りで帰られました。

セッション5は、4からのまとめでもあり、Coreのセッションの折り返し、ロルフィング10セッションの折り返しにも当たる節目のセッションとなります。
Coreのセッションですが、身体のあらたな手ごたえを感じて頂けることが多いセッションでもあります。
とてもスムーズな折り返しを経過されているので、以降の変化もとても楽しみです。