インナーフォーム:動きの機能解剖学 vol.1 -お腹の使い方-

core abdomen

インナーフォーム:動きの機能解剖学

第一回目はお腹の使い方をご紹介します。

様々なトレーニング方法や種々のメソッドは出尽くした感がある昨今ですが、機能的な動きにつながっているのか、効果的にトレーニングができているのか、というと今ひとつ不十分な気がしています。

今回のシリーズでは、筋肉単体としてはよく知られるようになった各々の筋肉を、機能的に動かすにはどうすれば良いのかをご紹介していきます。

筋肉というのは筋肉単体で動かそうと思っても、機能的な動きの改善になかなか貢献してくれないものです。

  • 動きを筋肉単位でのみ捉えるのではなく、機能するユニットとして捉えることの需要性
  • 筋肉群としてのユニットを統括するポイントに着目することで、動きのまとまりの感覚を養えること

以上2点を主題にして、話を進めていきます。

gym training

腸腰筋や腹横筋などは随分メジャーになってきていますが、本当に上手く使えているのかというと、曖昧であったり自信がなかったり、疑問符が付くのではないでしょうか?

お腹の使い方:インナーフォームの観点では、腸腰筋や腹横筋のトレーニングを始める前に、「機能的に動かすための感覚を養う」必要があるというスタンスを取っています。

腹部のインナーフォームの観点より、腸腰筋や腹横筋などの体幹部のユニットをまとめるポイントは、「内臓の引き上げ感覚を養う」ことです。

使い方のポイントはお腹を少し凹ませるようにし、内臓を引き上げるような感覚をキープすることによって得られる内側の適切なトーンの維持、が感覚の目安になります。

適切なトーンの維持のイメージとは、ギターの弦をチューニングする場合、張りすぎてもいけないし緩みすぎてもいけない、丁度良い音が出る調和してActiveになっているようなポイントの張り具合のことです。

別の表現を用いると、力を入れ固め過ぎてもいけない、緩み過ぎていてもいけない、「活性化する」という表現により導かれる意識も効果的です。

 

インナーフォーム図解

3D4Medical社様のご厚意により、画像を使用させていただいております。Permitted by 3D4Medical

そして、この引き上げ感覚をさらに「細分化して感じ使い分ける」必要があります。

図.1にあるように、ピンクと黄色の球体を感じ分け、内臓の引き上げ感覚の細分化を養うことができます。

解剖学的な観点からみると、ピンクは腹横筋や多裂筋、横隔膜や脊柱起立筋群を中心にしたユニット、黄色は下部腹横筋や骨盤底、深層外旋6筋や仙骨のユニットをまとめることができます。

図.2にあるように、さらに緑の球体を左右に細分化し、感じ分けることができるようになると、腸腰筋と腰方形筋、左右の股関節のユニットをまとめることができます。

引き上げ感覚と細分化して感じ使い分けることができるようになると、腸腰筋や腹横筋に付随した上肢・下肢の筋肉群がユニットとして機能的に働き始めると体感しています。

 

トレーニング

plank

体幹トレーニング、コアトレーニング、スタビライゼーション、etc

どのトレーニングも動きの安定化、上肢と下肢の連動性の向上が主目的になっています。

これらトレーニングプログラムはどれも良く考えられたものであり、正しく行うと確実に怪我の予防やパフォーマンス向上が見込める内容になっています。

考え抜かれた良いプログラムであるはずなのに、トレーニングの効果性の違いが生まれるのは、腹部のインナーフォームを上手く意識できているかどうかが、鍵になると考えています。

外側のフォームは一見して分かりやすいのですが、インナーフォームは内側のユニットを上手く活性化できているか否かになるので、外側からは分かりづらく、体感する以外にはなかなか伝えることが難しい部分になります。
今回の記事を参考に、トライして見てください。

 

バレエ

ballet

パッセのような片脚立ちのポジションが不安定になる方は、お腹が抜けていないかどうかにも注目してみてください。
お腹を適切に使えるようになると、自然と「肋骨が締まる」ようになります。

なぜなら腸腰筋は横隔膜と連動しており、横隔膜と胸郭が安定すると、上肢も動きに参加させやすくなります。

上肢と胸郭の適切なトーンをキープする様な姿勢を作れると、前鋸筋や腹斜筋も自然と働くようになるからです。

姿勢の安定には、腕や手を効果的に使えるかどうかも重要な因子になっており、そのためにはジャンクションとしてのお腹を常にアクティブにしておく必要があります。

 

テニス

tennis

捻りの動きが入るスポーツにも、腹部のインナーフォームは効果的に働きます。

特に、図.2で紹介している黄色や緑のスペースの意識を養うことで、安定した力強いストロークを行うことが可能になります。

この部位を上手く効かせられているかどうかが、脚から股関節の力の伝達と上体の捻りの反力を上手く相乗させるために働くための、統括するポイントになるからです。

 

慢性腰痛

gym training

健康のために始めた運動で、逆に腰が痛くなってしまう。

このような人は、今行なっている運動中にしっかりとお腹の活性化が行えているかどうかをチェックして見てください。

ポイントは、頑張ってお腹に力を入れる、お腹を無理に引っ込めるというよりも、内臓の引き上げやお腹を活性化する、と意識したほうが身体は自然に機能し始めます。

腰が痛くなるから骨盤の前傾後傾をいつも注意しているという方でも、お腹の意識が抜けていることが多々あります。

お腹が上手く使えるようになると骨盤のアライメントも自然と整うので、一度試して見てください。

 

まとめ

内臓を引き上げる感覚は、バレエなどのパフォーマンスに関わる方、体幹の安定のためのトレーニングを行う方、テニスや野球など捻りの要素があるスポーツを行う方、慢性的な腰痛をお持ちの方にとって、重要なインナーフォームです。

この感覚が抜けていると安定して身体が機能しないため、怪我をし易くなる、またパフォーマンスが不安定になるなどの主要な原因になります。

細かな解剖学のみへの終始ではなく、インナーフォームの上手な活性化こそが、身体を機能的に動かすスイッチであると体感しています。

実際のロルフィングセッションでは、各スポーツの特色を把握し、且つそれぞれのニーズに合わせたインナーフォームの再学習を行います。
外側からは分からない動きのコツを、多くの方が掴んでおられます。

今ひとつ上達が感じられない方、細かい筋肉を意識して動けない方、あるいは常に痛みを我慢して(もしくは気のせいだとして)競技に取り組んでいる方、限界だと諦めてしまう前にぜひ一度ご相談ください。

次のレベルへの第一歩を踏み出しましょう。