鍼灸ってどうして効くの?

施術が終わり、急激な可動域の改善を体感すると、皆様一様に驚かれます。
「鍼灸ってどうして良くなるのですか?まるで魔法みたいですね!」と。
鍼や灸を施すと、なぜ症状が改善するのでしょうか?

東洋医学においては、伝統的に「気」の流れを整えることにより、症状が改善すると考えられてきました。「気」というと、目に見えない怪しいもののように感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、英語でも「Qi」と書き、エネルギーともプラーナとも呼ばれ、意識している、していないに関わらず、私達が生きていくのに必須のものであると言えます。
私も初めは分からなかった気の感覚ですが、臨床経験が増えれば増えるほど、明確に感じられるようになってきました。

一方、西洋医学的には、鍼を刺すことによる即時性の血流改善と、脳が受け取る刺激の作用による効果であると立証されています。
鍼を一本刺すだけで、影響を及ぼす範囲は脳や内臓や自律神経系など、全身に隈なく広がっているという研究結果が日夜明らかになってきています。
私自身、東洋医学的な感覚のみにとらわれることなく、西洋医学が明らかにしている知見を用いることで、より効果的な施術や、改善が難しかった病態などにも対処できるようになったと感じています。

加えて、鍼灸治療の大きな特色として、痛みや症状に関連している神経繊維に対し、ピンポイントにアプローチできることです。
例えば西洋医学の内服薬は全身性に働くため、痛み止めを飲んだ場合など、往往にして胃に負担が掛かるものです。鎮痛剤を胃薬と同時に長期服用し、胃腸障害に悩まされている方もこれまでたくさん診てきました。
ペインクリニックなどで行うブロック注射なども、効果的な病態もあるのですが、あまり回復が見られない多くの方は、神経を麻痺させるのではなく、傷んでいる/過敏になっている神経自体を修復するアプローチが必要です。
傷んでいる神経繊維、過敏になっている神経繊維、これらにピンポイントでアプローチでき回復を促せることが、鍼灸治療の一番の強みだと考えています。

最初の質問の「鍼灸って何で良くなるのですか?まるで魔法みたいですね!」
このことへの答えは、このように様々ある鍼灸の特色とその方の症状を見極め、適切な施術を施すことにより可能となるのです。

当院では、上記のような鍼灸治療の特色を最大限に活かし、腰椎・頚椎症などの神経症状に対する施術から、自律神経の不調や極度の疲労など不定愁訴と呼ばれる症状への施術まで、お一人お一人の身体をホリスティック(全体性として)に捉えることを強みとしています。

鍼灸って痛くないの?

これは、鍼灸治療を受けたことがない誰しもが不安に思うことだと思います。
当院にて主に用いる針の太さは0.12mm〜0.16mmです。これは髪の毛と同じくらいの太さで、一般的な注射針の0.70mmよりも断然細く、鍼灸治療は身体にとって刺激の少ない治療といえます。また、同じ太さの針でも、メーカーにより微妙に異なる針先の形状と弾力性が採用されています。
そのため、当院では異なる3つのメーカーの針を、患者様の体質により使い分けています。
この針先の形状と弾力性の違いが、皮膚に入る時やツボに入った時の感覚の違いとなるからです。

その方の体質や皮膚の過敏性に合わせること、その日の体調を考慮すること。
状態に合う最適な針を用いることにより、痛みのない心地よい鍼灸施術が行えると考えています。また、すべて使い捨ての針を使用しており、製造工程において完全に滅菌処理がなされているため、清潔で安心です。詳しくは、「よくある質問」のページもご覧ください。

東洋医学からみた鍼灸一人ひとりの体質の違い

「腰が痛い」と一言で言っても、お一人お一人その原因は異なります。
持って生まれた体質も大いに関係しますし、また生活スタイルもそれぞれ違うからです。
東洋医学では、脈診(脈をみる)、腹診(お腹を触る)、望診(全体をみる)、舌診(舌をみる)といい、それらからの情報でその方の体質はほぼわかります。

腰痛を例にすると、腰痛人口は3000万人とも言われ、一種の国民病とも言われていますが、そのお一人お一人にそれぞれの原因があり、適切に対処することでかなりの割合で改善を促すことができると言えるでしょう。
適切な施術を施すためには、その前段階で、いかにその方の体質と病態を正確に把握するか、に尽きると思います。
パズルのピースが正しい位置にはまるように、施す治療とその方の状態がマッチする必要があるのです。

西洋医学からみた鍼灸裏付けのある理論

一方、西洋医学的観点から腰痛を考えた場合はどうでしょうか。
一般的に言われる腰痛の発生原理とは、①筋肉や筋膜に由来するもの、②腰部の関節に由来するもの、③骨盤内の循環不全や内臓の不調和に由来するもの、④脳での痛みの知覚に由来するもの、とおおまかに4つほどの原因に分類することができます。

分類した4つの原因に対して、鍼を刺すこと、灸をすることによって、体の中にどのような反応が起こり、痛みの改善や症状の緩和がどのように起きるのかの科学的な研究が一つ一つ進められていることが、西洋医学的鍼灸の強みであると考えます。

では、本来は伝統医学として発展してきた鍼灸施術ですが、西洋医学的な研究成果を取り入れることが、なぜ更なる効果をあげることに繋がるのでしょうか?
それは、研究で導き出される結果というのは、受け手の体質や施術者の技術的な側面を除外してもなお効果がある、無条件に起こる人間の生理学的変化のみを捉えているからです。
言うなれば、鍼灸学生でも、30年以上のベテラン鍼灸師でも、鍼灸をやれば誰でも起こせる普遍的な反応や結果しか、研究結果としては認められないということです。
鍼灸施術においての科学的な臨床研究というのは、名人芸を除外してもなお、誰もが同じ反応を出せるようにするためのものだとも言えます。

このように、東洋医学的観点からは有機的な施術、西洋医学的観点からは科学的な施術、の両方を取り入れることにより、より効果的な治療を施すことができると考えています。

また、元々は東洋医学として発展し、今では西洋医学的観点からも研究が盛んに行われている鍼灸治療ですが、西洋医学的観点から進められている研究の文献は、現在、ほとんどが英語で発表されています。
当院では、日々アップデートされる最新の研究結果も参考にし、臨床に取り組んでいます。